愛知県広域予防接種事業・会長挨拶
「愛知県広域予防接種事業にあたって」
公益社団法人愛知県医師会 会長 柵木 充明
愛知県広域予防接種事業は、平成26年4月より、A類疾病定期予防接種の広域化が開始され、平成28年4月からはB類疾病定期予防接種の広域化が開始されます。
このことは、私が平成24年の会長就任時の公約として掲げた政策の一つであり、愛知県小児科医会の長年の懸案でもあり、会員の皆様、市町村及び愛知県国民健康保険団体連合会等の皆様のご理解とご努力に厚く感謝いたします。
ご承知のとおり、予防接種の広域化は、住所地の市町村以外にある医療機関でも予防接種を受けることが可能となるようにするもので、日頃から予防接種対象者の身体の状況等を把握されているかかりつけ医による予防接種を推進するとともに、安心して接種が受けられる枠組みを整備したものであります。
振り返ってみますと、広域化の実現に向けては、様々な課題がありましたが、一つ一つ解決して今日に至っております。
平成25年5月、河村たかし名古屋市長へ広域化参加を強く働きかけをいたしました。その後、平成25年12月の愛知県国民医療推進協議会では、来賓としてお招きした大村秀章愛知県知事及び河村たかし名古屋市長に対し、愛知県民が等しく「いつでも、どこでも」予防接種が可能となるよう訴え、平成26年4月からの実現に向けて強く要望しました。
また、予防接種の請求支払事務の委託については、愛知県国民健康保険団体連合会にその事務を行っていただくこととなりましたが、当初(平成25年4月)市町村からの要望がないこともあり、当該事務の委託に難色を示されておりました。
しかしながら、担当役員が市町村へ精力的に働きかけ、豊橋市、津島市、大府市、みよし市、西尾市から同年6月から7月にかけて要望書が出されました。その後、一宮市、豊田市、岡崎市など多くの市町から要望書が提出され、愛知県国民健康保険団体連合会が受託することへの原動力となりました。
この間、役員が本会の環境衛生委員会及び県下医師会予防接種事業担当理事連絡協議会と熱心に検討・協議し、行政とは愛知県健康福祉部健康担当局の調整により愛知県予防接種広域化調整会議、同ワーキング会議などを開催し、実施にあたっての様々な問題・課題を丁寧に、着実に解消し合意形成がなされました。
一方、平成26年1月、名古屋市の纐纈健康福祉局長から「広域化には参加するが、システム改修により2~3か月遅れる」との話があり、県内で一番人口が多いこともあり、物理的な面を考慮すると「やむを得ない」と判断いたしましたが、その名古屋市も平成26年7月には本事業への参加を果たしました。
その後、平成26年10月には、新たに定期予防接種となった水痘の本事業への追加、平成27年4月からは、B類疾病定期予防接種の広域化について、愛知県広域予防接種事業ワーキング会議等にて検討がなされ、同年8月に行われた愛知県広域予防接種事業調整会議にて全市町村の賛同のもと、平成28年4月からB類疾病定期予防接種の広域化がはじまることとなりました。
このような流れの中、愛知県広域予防接種事業が開始、運営され、現在では全ての市町村が参加し、全ての定期予防接種が愛知県内の他の市町村でも受けられる体制を整えることができました。
県民の方々へ、安心・安全な予防接種を行っていただくためには、引き続き、会員の皆様のご理解とご協力が不可欠ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
平成28年4月1日